ワインの底に沈殿物がある?澱(おり)の正体について簡単に解説!

ワインの底に沈殿物がある?澱(おり)の正体について簡単に解説!

ワインの沈殿物・澱(おり)の正体


ワインのボトルの底の方に、何やらモヤモヤした異物のような、不思議な物体が沈んでいるのを見たことがある人もいると思います。飲んで大丈夫なものなのだろうかと、心配になりますよね。

  • いったい何が沈んでいるのか?
  • 正体は何なのか?
  • なぜこういった物体が現れるのか?
  • 見つけた時はどのように取り扱ったら良いのか?

等々、いろんな疑問が湧いてくるのではないでしょうか。

また、せっかく楽しみに買ったワインに沈殿物を見つけたら、異物混入だとクレームを入れたくなるかもしれませんが、ちょっと待ってください。

澱は、ひと言で言うと、渋みと色素の塊です。
渋み成分のタンニンと、赤い色素成分のアントシアニンなどのポリフェノールやたんぱく質が、時間をかけて熟成していく過程で生まれます。

緩やかに酸化していく中でそれぞれの成分が結合し、結晶化したものです。

舐めても体に害はありませんが、とても苦いのでおすすめしません。

ワインの沈殿物は成熟した赤ワインにみられる


ワインに見られる澱は、タンニンとポリフェノールが豊富に含まれる、フルボディの成熟した質の良い赤ワインに多く見られる現象です。澱ができるということは、渋みがまろやかな味へと変化したことを意味していて、ワインが熟成された証でもあります。

それでは、若いワインには澱は全く発生しないのかというと、決してそんなことはありません。特に自然派ワインの場合だと、製造工程で清澄・ろ過を行わない生産者も珍しくないので、熟成が進んでいないワインにも澱が見られることはあります。

澱が発生したワインは、取り扱いに少し注意が必要です。何も考えずに無造作に扱うと、ボトルの中で澱が浮遊してしまい、グラスに注いだ時に見た目が美しくありません。

また、先ほどもお伝えしたように、澱は渋み成分と色素の塊ですので、熟成してまろやかな味わいになったワインと澱を一緒に口に含むと、長い時間をかけて熟成された繊細で複雑なワインの味わいが台無しになってしまいます。

ポイント風味を損ねずに美味しく味わうためにも、デキャンターを使うなどして、澱のない上澄みだけを移し替えてグラスに注ぐのが一般的です。

ワインの不純物には「酒石」と呼ばれるものも


ワインの沈殿物は、赤ワインだけに見られる現象ではありません。実は、白ワインにも澱が溜まることがあります。ただ、白ワインにできる沈殿物は、赤ワインに発生する澱とは異なり、キラキラと光るガラスの欠片のような見た目です。

これは、ワインの成分である「酒石酸」が、カリウムなどのミネラル分と結合することによって生まれる結晶で、「酒石酸カリウム」という成分を多く含んでいます。

ヨーロッパでは「ワインのダイヤモンド」と呼ばれることもあり、縁起の良いものとして喜ばれます。日本で言うところの、「茶柱が立つと縁起がいい」みたいな感覚に似ていますね。

赤ワインの澱が、主に質の良いフルボディのヴィンテージワインに見られるように、酒石酸の場合も質の良いヴィンテージのブドウから造られた、良質な白ワインにできやすいという特徴があります。

ちなみに白ワインに多く含まれる酒石酸カリウムにも、赤ワインに豊富に含まれるポリフェノールと同様に、血糖値の上昇を抑制する効果があるのではないかと考える研究者もいて、健康効果の面からも注目を集めています。

まとめ

今回は、ワインボトルの底の方に時々見られる、沈殿物・澱について解説してきました。

  • 赤ワインの澱の正体は、渋みと色素の塊
  • ワインの沈殿物は成熟した、良質な赤ワインによく見られる現象
  • 白ワインにも「酒石」と呼ばれる不純物が見られる
  • ワインの澱は口に入れても害はないが、風味を損ねるのでグラスに入らないよう注ごう

これからは、ワインボトルの中に沈殿物を見つけても、もう安心ですね。

一日のワインの適量はこちらで解説しているので、健康に気を使っている方は覗いてみてください!

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